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2023年3月14日 (火)

かわいそうな下山さん

 慈善か?偽善か?沢田美喜と闇深き孤児院を考察!(https://www.youtube.com/watch?v=MH2NHnFrL0o

で紹介されていた『下山事件 最後の証言』(柴田哲孝作、2005年)。

 

 下山事件とは、初代国鉄総裁の下山定則が三越本店で失踪し、翌日常磐線上で轢死体となって発見された戦後史最大のミステリーである。

関係者の親族である作者は、亜細亜産業の総師矢板玄へのインタビューにより真相に迫り、米国、政界、三菱の三つの利益が重なり下山事件が起こったことを理解する。

真犯人が誰だったのかと推理小説のようで興味深いが、背景にあった構図を見ると何とも言えない気分になる。

 

 矢板氏は作者に言う。

「あの頃の世界情勢はどうだったのか。その中で日本がどのような立場に立たされていたのか。それさえわかれば、下山がなぜ殺されたのかもわかるだろう」

「ウィロビー(G2)は事件を利用しただけだ。ドッジ・プランとは何だったのか、ハリー・カーンは何をやろうとしていたのか。・・・もしソビエトに占領されていたら、どうなっていたと思う。日本は東ドイツや北朝鮮のようになっていたかもしれないんだぞ。それをくい止めたのが、マッカーサーやおれたちなんだ。・・・アメリカの不利になるようなことは言うべきではない。」

 

  下山事件の真相をめぐる恐喝で逮捕された真木英一は、上海英租界にミルクホールを経営して中国要人を次々に殺したプロの暗殺者だった。下山事件の犯人に仕立てあげられそうになったので、5千万円の情報料を要求して真相を話そうと警視庁に持ちかけた。真相は語らぬまま釈放後、彼は沢田美喜のエリザベス・サンダース・ホームに逃げ込んだ。

 真木は、沢田美喜の私設秘書をやっていて、戦時中は三菱商事の社員という肩書も持っていた。それでCIAに殺されずにすんだというのだ。当時は、米国防省管轄のGHQ(G2CIS)に遅れて入ってきた米国務省CIAも暗躍し、CIAは下山事件をキャノン大佐に罪をかぶせようとしていた。

 確かに、エリザベス・サンダース・ホームは慈善施設の看板の裏で何かをやっていた。

ポール・ラッシュとのパイプを持っていた沢田美喜は、キャノンと矢板玄を引き合わせている。白州次郎も吉田邸からホームを足繁く訪ねた。吉田茂の懐刀である白州次郎は、終戦連絡事務局次長を務め、CISのラッシュの情報アドバイザーの一人で、ラッシュの親友沢田廉三は、吉田の外務省時代の後輩であり、美喜の実家の三菱は吉田茂の政治資金の後ろ盾だった。

 沢田美喜を弁護するわけではないが、『GHQと戦った女』(青木冨貴子作)ではCIAで権限を持っていたとしながらも、彼女のエリザベス・サンダース・ホームでの働きぶりを温かく書いている。また、真木についても

「真木さんは、チンタオで執事だった人。・・子供の戸籍を取るなんて真木さんの仕事。・・ママに言われて東京へ一日2回も往復していましたよ。」という証言をとっている。戸籍を取る以外の用事もあったことは間違いない。

 

 そして。クリスチャンが下山事件のキーワードだという。

作者の祖父の友人村井恵(韓道峰、韋恵林)、沢田美喜、真木一英、謎の情報屋李、キャノン等のGHQ関係者も信者で、特にウィロビー、マッカーサー、村井はフリーメーソンの主要メンバー。

「エリザベス・サンダー・ホームはCIAの支部だった」

 その根拠は、CIAは他国に進出する時に、最初に大使館や教会施設を基地に使ったから。ちなみに統一教会も然りで、設立には児玉誉志夫と岸信介という亜細亜産業の人脈が関わり、矢板氏も後援者だった。岸の指導下で統一教会が栄え、CIAの資金が自民党の金庫に流れたことを考えると、安倍さんが殺された理由もわかる。

 

 さて、当時の国鉄には汚職構造があったという。

国鉄は、適正価格の2倍から3倍の価格で下請け業者に仕事を発注し、受注金額の35%前後が運輸省の上級役人や国鉄幹部に戻された。談合には満州鉄道や旧日本陸海軍の軍事物資の取引があった団体や企業が参加し、裏金は政界に流れた。

下山さんは収賄側ではなかったので、国鉄の民営化のために大量の人員整理をしなければならなかった時に、汚職をなくせば解雇せずにすむと思ったのでは・・?

しかし、汚職をばらされたら困る。

米国:GHQとしては国鉄の大量解雇は占領政策の成否を分ける急務

政界:吉田茂、佐藤栄作等が収賄側

三菱:会社が儲からないと困る

これらの利害が一致し、CIAと亜細亜産業が協力して事件を起こした。

 

 1ドル=360円を設定したドッジ・プランの後ろにはハリー・カーンがおり、アメリカの資本家による日本での投資利益を優遇するためにジャパン・ロビーを創設。「米国援助物資見返り資金」、ジャパン・ロビーの公的機関FIC(外貨導入懇談会)には白州次郎の人脈が割り当てられた。

https://naotatsu-muramoto.info/nihonsinobenkyou/haisengo/haisengo22.htmlの記述も興味深い。

三菱には、ディロン・リード社と組んで国鉄民営化で儲けるという構想があったが。その前に財閥解体されてしまった。潤沢な「米国援助物資見返り資金」が亜細亜産業に流れ、そこには沢田廉三もよく顔を出していた。

三菱も欲しかった国鉄なのだから米国も買収したかったことだろう。日本は朝鮮戦争の極東の工場・軍事基地なのだから、鉄道網が重要だったのは良く分かる。

作者は書く。

「日本政府は外資から国鉄を守るために下山総裁を抹殺したのではなかったか」

 

 矢板氏によると三越の近くにあったライカビルの4階の床下には金の延べ棒が沢山あったそうだ。

「親父と三浦義一が大蔵省の迫水と組んで金銀運営会というのをやってたんだ。・・戦時中に、国が国民から指輪やネックレスなんかの貴金属を供出させたのは知ってるだろう。それを潰して金の延べ棒にして、全部うちに集まってくるわけさ。」

戦時中は物資調達に使い、ダイヤ以外のルビーとかエメラルドは矢板氏達たちの小遣いになり芸者に使ったそうだ。児玉誉志夫も大陸からダイヤやプラチナをごっそり持って帰ってきたが、ウィロビーに巻き上げられた残りが日銀に納められたらしい。この金銀運営会のお金が吉田茂の政治資金源だったので、吉田は三浦義一に頭が上がらなかったという。岸信介もその財源にあやかっている。

 

 搾取される国民はいつも蚊帳の外で、政権に群がる企業や金持ちが甘い汁を吸っている構図がわかる。

ふと思った。横浜外人墓地に眠るエリザベスはどう思っているかと。

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